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ドローン業界ニュース

2021-06-30

日本初、医療従事者への温かいランチのオンデマンドドローン配送サービス の実証実験を神奈川県横須賀市で実施

株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、代表取締役CEO 田路 圭輔、以下エアロネクスト)、株式会社ACCESS(東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 大石 清恭、以下ACCESS)、株式会社出前館(東京都渋⾕区、代表取締役社長 藤井 英雄、以下出前館)、株式会社吉野家(東京都中央区、代表取締役社長 河村 泰貴、以下吉野家)は、神奈川県(知事 黒岩 祐治)、横須賀市(市長 上地 克明)、横須賀市立市民病院(管理者 北村 俊治)、神奈川県立海洋科学高等学校(校長 石垣 隆)の協力のもと、出前館のアプリで注文された吉野家の牛丼弁当を横須賀市立市民病院の医療従事者にオンデマンドでドローン配送する実証実験を2021年6月10日(木)に実施いたしました。

この取組みは2019年12月に神奈川県のドローン前提社会の実現に向けたモデル事業として採択された、エアロネクストの「ドローン物流定期ルートの開設に向けた実証実験」ならびに横須賀市の地域課題解決を目指した「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」の一環であると共に、2022年度の「空の産業革命 レベル4*1」解禁に向けて将来の食料品や医薬品のドローン定期配送を見据えた取組みです。

◆実証実験概要
(1)期間:2021年6月10日(木)
(2)飛行区間: 横須賀市立石公園~横須賀市立市民病院
(3)運搬物: 吉野家の牛丼弁当
(4)実証手順と内容

・出前館のアプリで注文された吉野家の牛丼弁当が、吉野家のキッチンカー(オレンジドリーム号)で調理され専用ボックスに格納され、出前館の配達員によってドローン離陸地点(立石公園)まで搬送されます。
・専用ボックスがドローンにセットされ、ドローンは立石公園から離陸し、海上4.5km、陸上0.7kmの合計約5.2kmの航路を約10分間飛行し、横須賀市立市民病院屋上に着陸し医療従事者に届けられます。
・病院屋上に到着後、熱々で牛丼のたれもこぼれず中身も偏らず高い配送品質で届くことを実証します。

(5)横須賀市立市民病院の実情と背景

横須賀市立市民病院は新型コロナウイルス感染症の入院が必要と診断された中等症の患者を受け入れる「重点医療機関」に指定された病院です。食事事情では、周辺に昼食場所も少なく、昼食のため外出する時間的余裕もままならない中で、新型コロナウイルス感染症対策により病院内の食堂も時間短縮で運営されており、医療従事者にとって温かいランチを取りにくい環境です。また今後オンライン診療の検討も始めており、今回の実証実験では今後のオンライン診療と医薬品配送の可能性も見据え協力の運びとなりました。

 
(6)使用機体

エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®*2を搭載し、飛行部と荷物搭載部が分離した構造の、飛行性能、応答性能、着陸性能に優れた物流用途に特化した物流専用ドローン。3月19日に発表した株式会社⾃律制御システム研究所(ACSL)とエアロネクストの共同開発の最新の機体で、今回初お披露目となります。


◆各社の主な役割
株式会社エアロネクスト:本実証統轄、取りまとめ、独自安定技術搭載ドローンおよび技術者提供株式会社ACCESS:ドローンの遠隔運航管理、ドローンオペレーション総括、技術者提供
株式会社出前館:注文システム、デリバリー提供
株式会社吉野家:牛丼弁当の調理、提供
横須賀市立市民病院:実証実験協力
神奈川県立海洋科学高等学校:実証実験協力
横須賀市:実証実験協力 地域および関係者との調整等
神奈川県:実証実験協力 地域および関係者との調整等


◆参考

*1 空の産業革命レベル4

2020年7月に発表された小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会による「空の産業革命に向けたロードマップ2020」で明記されている、2022年度を目標とした「有人地帯での補助者なし目視外飛行」の実現フェーズのこと。

*2 機体構造設計技術4D GRAVITY®

機体重心を最適化することで、飛行中の姿勢、状態、動作によらずモーターの回転数を均一化して、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能を向上させる構造設計技術。この技術は、機体の分離結合構造とペイロードの接続の仕方に特徴を有しており、エアロネクストは、この技術を特許化して4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITY®による基本性能の向上により、産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。

*エアロネクストおよびエアロネクストのロゴおよび、「4D GRAVITY(R)」は、株式会社エアロネクストの商標です。その他のすべての商標は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。
*ACCESS、ACCESSロゴは、日本国、米国、およびその他の国における株式会社ACCESSの登録商標または商標です。

コメント

今回実験で使用された「4D GRAVITY®」搭載の物流専用ドローンは、以下の3つの特徴を持ち、飛行速度・飛行距離・配送可能重量・配送品質のレベルアップを実現するとのこと。
①荷物を機体の理想重心付近に最適配置
②水平定常飛行・前進特化型の物流専用機体
③独立変位可能な荷物水平維持機構

「4D GRAVITY®」とは、記事にもある通り機体重心を最適化し、ドローンの基本性能を向上させる構造設計技術であり、2018年3月に原理試作を発表して以降、国内外のピッチコンテストにおいて数々の賞を総なめにして、世界的な注目を集めているそうです。

実験で使用された物流専用ドローンの他にも、同じく「4D GRAVITY®」搭載の撮影専用ドローン・点検専用ドローンなどの試作機が発表され、ドローン業界全体に変革を起こすと言われており、今後が楽しみです。