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ドローン業界ニュース

2022-03-31

近畿大学、ドコモ、5G活用し水中ドローンによる養殖マグロ状態監視の実証実験を実施


 2022年3月30日、近畿大学、NTTドコモ(以下、ドコモ)は、5Gを活用した水中ドローンによる完全養殖クロマグロの状態監視を目的に、近畿大学水産研究所 大島実験場のいけす内の映像をリアルタイム伝送し、同時に近畿大学 東大阪キャンパスから水中ドローンの遠隔操作を行う実証実験を同日実施すると発表した。マグロの状態監視における水中ドローンの性能や映像伝送および遠隔操作システムの有用性を検証する。

【検証項目】
・水中ドローンによる撮影映像のリアルタイム伝送
・いけす内の水中ドローンの遠隔操作
・水中ドローンで撮影した4K映像のアーカイブ共有

 同実証は、2020年に近畿大学、日本電信電話(NTT)、ドコモ、西日本電信電話(NTT西日本)、NTTデータの5者で締結した「5Gの推進、「スマートシティ・スマートキャンパス」創造に関する包括連携協定」の取り組みの一環となる。
 具体的には5Gの低遅延通信を活用し、水中ドローンで撮影した映像をライブ中継機を通して陸上へリアルタイムで伝送する。近畿大学水産研究所 大島実験場(和歌山県串本町)のいけすから100km以上離れた近畿大学 東大阪キャンパス(大阪府東大阪市)に伝送された映像を水産研究所職員が確認し、現場の操縦者に作業内容や撮影ポイントの指示を行うほか、水中ドローンを遠隔から操作していけす内の状態を把握する。また、水中ドローンでマグロやいけすを撮影するほか、取り付けたアームでいけす内に沈んでいる死亡魚を回収する。
 水中ドローンで撮影した映像は、ドコモのクラウドサービス「docomo sky Cloud」にアップロードすることで、多拠点から高精細映像を閲覧できる。

※「docomo sky Cloud」
 ドローンの飛行準備からデータアップロード、レポート作成、AIによる解析まで、クラウド上でトータルに一元管理できる、ドローン業務に特化したクラウド型のドローンプラットフォーム。誰でも簡単にワンストップで行えるプラットフォームで、さまざまな領域でドローンのビジネス活用をサポート。

 マグロの養殖においていけす内の状態監視は、マグロの品質や水揚げ量を大きく左右する。これまではダイバーが水中に潜っていけすの状態や水質、マグロの健康状態の確認や死亡魚の回収を行っており、作業者の負担が大きく安全性にも課題があった。
 同実証では水中ドローンと映像伝送および遠隔操作システムを活用して、作業者が遠隔地から指示を出したり、ダイバーが水中で行う作業を代替したりすることで、作業効率化や生産性、安全性の向上が期待できる。


<コメント>

 ドローンは空のみならず水中においても活躍の場を広げ、2025年度の水中ドローン国内市場は70億円となる見込みとのこと。

 日本は世界第6位の排他的経済水域の面積を持つ海洋国家ですが、国内の漁業や潜水業の就業者数は建築業と同じく減少傾向にあります。水中ドローンは建築業と同じく人材不足を補い、海洋DXの一端を担う存在になるのではないのでしょうか。

 またテレビなどの水中撮影や水難救助など、活躍の場は空を飛ぶドローン同様、もしくはそれよりも広いかもしれません。