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ドローン業界ニュース
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2023-05-31
東北ドローンと東北大学TCPAI、AI・ドローンによる「山岳遭難者探索システム」を開発
2023年5月24日、東北ドローンは、東北⼤学タフ・サイバーフィジカルAI研究センター(以下、東北大学TCPAI)との共同研究により、⾃動⾶⾏ドローンと⼈検出AIによる「⼭岳遭難者探索システム」を研究開発したことを発表した。 ドローンの電源投⼊から空撮、遭難者発⾒、クラウド経由の報告までを完全に⾃動化。夜間・⼀部通信圏外のロボット競技会において、その性能を実証した。
■現状の課題と解決策
⼭岳遭難は近年右肩上がりに増加している。捜索する側は、遭難が発生した場合には山間部を数日にわたり大人数で捜索するため、多大な運用費用に加えて捜索者側の安全リスクも高まるといった課題がある。
東北ドローンと東北大学TCPAIは、2022年度にドローンを使った遭難者探索システムの共同研究に着手。東北大学TCPAIでは、社会や産業の課題解決へ向けたロボットやAIの研究開発を行っており、東北ドローンのドローン運用ノウハウと、東北大学TCPAIの研究実績を合わせることで、実践的なシステムの開発を目指した。
開発したシステムでは事前に設定した範囲をドローンが自動航行し、熱画像カメラの映像から自動で人らしき箇所を捉え、その位置座標を送信する。空から捜索する中で人らしきものを見つけた場合、その位置情報を伝えるという流れを捜索と一貫して行う。
具体的には、ドローンが離陸後に赤外線カメラを使用して赤外線映像を撮影。次に、白黒の赤外線映像から、周囲の環境よりも温度が高い(色が白い)人の特徴をもった形状をAIが認識する。そして動画を画像に切り分け、AIが認識した物体に関する位置情報を計算し、着陸後または上空利用が可能なSIMカードを搭載した端末から拠点に送信する。送信するデータは、全体のうちAIが認識した部分のみになるため、データ確認は容易となる。
東北ドローンが機体や通信、東北大学TCPAIが遭難者検出や位置特定技術の開発を主に担当した。 映像中から人を検知するために、YOLOv7という物体検出AIモデルを採用。YOLOv7に上空から人を撮影した赤外線画像を使った独自のチューニングを施すことで、検出機能を実現し、チューニング後のYOLOv7では、赤外線画像から人らしき物体を検出して矩形(長方形)とテキストで表示する。
■研究開発の方向性
捜索者にとって安全な仕組みができることで、昼夜を問わない持続可能な捜索が可能になると見込み、テクノロジーを使用した捜索者のための課題解決を検討した。
東北ドローンでは、ドローンを活用して空から遭難者を捜索するシステムを開発することで、人が現場に赴き捜索するリスクを減らすとともに、遭難者の早期発見に貢献することができると考え、ドローンの電源投入から飛行、分析者へのデータ送信まで、人の介入が少なくなるようなシステムの開発を検討した。
既存製品の組み合わせでは自動で物体を見つけることは困難であるため、自動で人を検知し、その場所を推定するシステムを目指すとともに、夜間の捜索も可能とするため熱画像カメラを採用した。
■ジャパン・イノベーション・チャレンジ2022における検証
遭難者救助のテクノロジーを競うロボットコンテスト「ジャパン・イノベーション・チャレンジ2022」(以下、JIC2022)において、両者は「東北ドローンと東北大QuixAir」として、コンテストの課題のひとつである「発見」に注力して参加し、システムの検証を行った。
コンテストでは実際の山間部に捜索対象となる人の体温を模した人形(模擬被災者、以下マネキン)が複数体設置され、出場者は夜間にロボットを使ってマネキンを捜索する。 地形による伝送の乱れや低温などの影響から、制限時間内の課題達成はできなかったが、後の検証で、自動航行から帰還したドローンはターゲット(マネキン)らしき物体を検知しており、推定した位置座標も誤差が少ないことがわかった。
JIC2022でマネキンを検知したシステムの性能を定量的に評価することで、システム改善の具体的な方向性がわかることから、2023年1月に福島ロボットテストフィールド(以下、福島RTF)内において、JIC2022と同様のマネキンを配置して再度システムの運用を行い、そこで取得したデータをもとに検証を行った。
これによりAIの評価指標である再現率と適合率を求めることができた。再現率は、検出すべき物体のうち、正しく検出された物体の割合を表しており、偽陰性を考慮して見逃しをなるべく抑えたいときに有用な評価指標となる。適合率は、システムが検出した物体のうち正しく検出された物体の割合を表している。誤検知などをなるべく抑えたいときに有用な評価指標である。
■検証結果
福島RTFで複数回取得したデータを東北大学TCPAIが分析。その結果、全体の再現率は50.9%で、適合率は90.5%であった。これらの評価指標には目安となる絶対的な数値基準はなく、あくまで相対的な評価としてAIの精度を検証するために用いられる。
適合率90.5%という数値は高く、AIは陽性と検知した物体の9割が正しい結果であったことを示している。一方、再現率の50.9%は改善の余地があることを示している。これは陽性全体のうち、AIは約半数の陽性を陰性と判断していると言い換えることができる。
■今後について
JIC2022と福島RTFにおける検証から、AIの推定による再現率の向上と、探索システムの精度向上が課題であることが分かった。再現率は、見逃しをなるべく抑えたいときに使う指標となる。再現率を上げることで、飛行ルート内の遭難者を見逃さないシステムに近づくが、現時点ではAIの追加学習が必要となっている。探索システムの精度については、熱画像カメラに付随するパラメータやドローンのタイムスタンプの取得によって、より正確な位置推定につながるデータの取得が可能となるが、現在使用しているカメラの技術的な分析などが必要となる。両者はこれからも実用へ向けた研究開発を続けるとしている。
コメント警察庁の統計によると、21年の山岳遭難の発生件数は 2,635件と過去2番目の多さであり、近年右肩上がりに増加。
また、 北アルプスや中央アルプスなどを管轄する長野県警の山岳安全対策課と同協会の発表によると、新型コロナの感染が拡大した20年に183件まで減少した山岳遭難件数は、行動制限が大幅に緩和された22年に284件まで増加。265件だったコロナ禍前の19年を超え、22年の死者・行方不明者は計41人。遭難者数は310人で、史上最多だった18年の330人に迫ったとのこと。284件の山岳遭難に対して救助に出動したのは延べ3267人で、コロナ禍前の19年よりも約500人増加し、遭難1件あたり、11.5人が出動したことになります。
捜索は警察や防災ヘリにより行われることが多いが、山麓から捜索隊が登って地上から捜索する活動も不可欠です。この場合、危険な個所や広大な山岳地をできるだけ短時間に隈なく捜索することが求められ、多大な人員や、時間、費用、そして二次遭難のリスクが付きまといます。この⼭岳遭難者探索システムでの捜索が可能となれば、夜間も捜査を行うことができることなどから遭難者の発見が早まり、捜索する側のリスクも減ることが考えられます。AIの推定による再現率、探索システムの精度向上などまだ課題はありますが、一日も早い実現が望まれます。 -
2022-10-31
自動運用型ドローンによる不法投棄監視手法の実証事業を三重県で実施
株式会社プロドローン(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:戸谷 俊介、以下 PRODRONE)は、9月29日に三重県伊賀市で実施した「自動運用型ドローンによる不法投棄監視法の実証実験(以下 本実証)」に参加しました。三重県では、産業廃棄物の不法投棄が後を絶たない現状を踏まえ、不法投棄の早期発見や抑止効果も期待できるドローンによる監視手法の検討を進めています。これを受け、オペレータが操縦することなく、事前にルート設定等を行ったドローン(自動運用型ドローン)と地表データの処理システムによる、自動検知機能を検証しました。 県庁会議室からの指示により、自動運用型ドローンが離陸、リアルタイムでの県庁へのデータ送信を行いながら、およそ数km離れた60ヘクタールのエリアを30分弱の時間で調査し、プロドローン独自の技術によって不法投棄された場所を検出しました。 検知のためのデータ処理エンジンとしては、不法投棄検知に特化したパラメータを用いたフィルタリングによる畳み込み層と、同様に自然地物を基準としたプーリング処理を実装、学習が難しい映像において効率的な検知を実現します。今後はさらにその検知結果を汎用のAIに入力することで、誤検知の低減と、検知精度の向上を目指します。 本実証を進めてきた三重県廃棄物監視・指導課 池田克弥課長補佐のコメントは次の通りです。
「今回の監視範囲は60ヘクタール、東京ドーム13個分の広さを30分の飛行で終了し、ドローンによって効率的に監視をすることができました。不法投棄の監視活動にドローンが使えないかという実証実験なので、実現可能性や実装に向けた課題を検証することが目的です。今回の実証内容を踏まえ、今後も導入の検討を進めていきたいと思っています」 株式会社プロドローン 常務取締役 市原 和雄のコメントは次の通りです。「本実証で使用した「PD4B-M」は、今までのニーズや新たなシーズを反映しながらも、シンプルな構成で長時間飛行できる機体です。日本の環境における風雨への必要十分な耐性を持ち、また、新しい画像解析の試みを加えることでより付加価値の高い製品にすることができると考えています」 ■株式会社プロドローンについて「地域から一番信頼されるドローンカンパニーになる」をビジョンに、中部圏におけるドローンエコシステムの構築を目指しています。最大ペイロード30kgで、量産を開始しているマルチコプター「PD6B-Type3」や、2時間飛行可能で耐侯性に優れたヘリコプター型「PDH-GS120」など、産業用ドローンを社内で開発から生産までワンストップで行っています。コメント 今まで重要施設などでのドローンによる巡回警備事例はあったものの、不法投棄の実証実験まで行われていることを初めて知ることができました。自動運転だけでなくAIによる不法投棄場所の検知まで、たった1台のドローンでできるなら、個人所有できるようになる日までそんなに遠くないかもしれないですね。 -
2022-08-31
都市部での飛行許可が免除!“釣り”の発想から生まれた西武建設の外壁検査ドローンシステム
【釣りのアイデアをもとにしたドローン外壁検査】 「Japan Drone2022|第7回-Expo for Commercial UAS Market-」(会期:2022年6月21~23日、千葉・幕張メッセ)で、「釣竿とリール、その先にドローン」という異色の展示が目を引いた。日本建築ドローン協会(JADA)のブースに出品されていた「ラインドローンシステム」だ。 ラインドローンシステムを開発したのはJADAの隣にブースを出展した西武建設で、正式名称は「西武建設式ラインドローンシステム」。釣竿(ブラケット)にセットされたリールから伸びるラインは、ドローンに取り付けたアダプター(治具)を介して、その先のセイフティポートへと続いている。そもそもが、「釣り好きの開発担当者のアイデアから生まれた」システムだという。 西武建設式ラインドローンシステムの仕組みを簡単にいえば、建物屋上のブラケットと地上に設置したセイフティポートとのライン間を、係留したドローンが上下に飛行しながら写真撮影し、外壁検査する。アダプターを取り付けられる機体は、今のところDJIの「Phantom 3/4」と「Mavic 2」に限られるが、その他の機体向けにアダプター開発も進めている。 点検対象が高層建物となると、どうしても都市部に集中する一方、都市部ではドローン飛行が別の電波などの影響を受けやすく、飛行が不安定になりやすい。「万一、墜落する事態になっても、ラインで地上(セイフティポート)の想定した位置に戻せるため、安全に検査できることがこのシステムを使用する最大のメリット」だと、西武建設 建築営業統括部 営業企画部 北村亮氏は説明する。【足場要らずで外壁点検が効率化】 また、通常の外壁点検では足場の設置が必要になるが、ラインドローンシステムならば、屋上にブラケットを固定するブラケットレシーバー、地上にはセイフティポートをそれぞれ設置し、順に横に移動させながら検査するため、足場を組むよりも短期間で効率よく作業にあたれる。北村氏は、「都内で実施した幅40メートルほどのマンション外壁検査では、ブラケットレシーバーとセイフティポートの位置を14回程度、横移動しただけで完了した。カメラの性能を上げれば、10回程度の移動で済むのでは」と見込む。 これまでの導入実績は、焼却施設のコンクリート表面や区役所外壁、マンションタイルの劣化調査など、2021年5月時点で10件以上に使用されている。ラインドローンシステムの運用には、ドローンパイロット1人、ラインドローンシステム管理者1人、ラインドローンシステム管理者のサポート1人以上、ブラケット保持者2人以上が必要となる。ラインドローンシステム管理者の資格を取得するためには、JADAの建築ドローン安全教育講習会を修了した後、西武建設が実施するラインドローンシステム管理者講習を修了しなければならない。 なお、ラインドローンシステムは、上下2カ所を固定することでフライアウェイを防止し、墜落しても離着陸箇所(セイフティポート)に誘導できる点と、外壁点検を行うために必要な安全管理体制/教育体制が整備されていることの2点が評価され、JADAの技術評価を受けている。 コメント 以前ご紹介した西武建設さんの「ラインガイド式ドローン」ですが、当時はまだサービス開始に向けた準備段階でした。 しかし6月に行われた「Japan Drone2022」では、「西武建設式ラインドローンシステム」と名前を変え、既に導入実績10件以上のシステムとして出展してありました。 以前より、ラインに繋がれている事で安全性が高いサービスと注目していましたが、2021年9月の航空法施行規制改正で、十分な強度を有する紐(ひも)など(30メートル以下)で係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理などの措置を講じた場合は、ドローンの飛行許可/承認が不要となったことも、システムを使用するプラスの要素になりました。 現在、「ドローンの飛行ガイド装置」「外壁点検方法」「外壁点検システム」として特許を取得しており、「ドローンの離着陸装置」と「ラインドローンガイドシステム」としても特許を出願中との事。 -
2022-06-30
建設業にドローン活用広がり/幕張メッセで展示会、メーカー各社がPR
建設業でドローンの活用が広がっている。ドローンに関する展示会「第7回ジャパン・ドローン」が21日、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕した。ドローンメーカー各社が最新の実機を出展し、飛行のデモンストレーションを実施。測量や施設管理に活用し、作業の安全確保と効率化に貢献するなどとアピールしている。主催は無人航空機の市場創造支援などに取り組む日本UAS産業振興協議会(JUIDA、理事長・鈴木真二東京大学名誉教授)。会期は23日まで。 ブルーイノベーション(東京都文京区、熊田貴之社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は今夏に発売予定の最新ドローン「ELIOS3」の実機を展示。映像をリアルタイムで3Dデータ化する屋内ドローンで、プラントや工場の点検に用いるなど、持続可能な運営に役立ててもらう。デモ飛行では搭載されたカメラに写る映像を来場者に見せ楽しませた。 「空飛ぶクルマ」の実現に向けたドローンポート開発の内容も注目を集めた。ブルーイノベーションのほか、国土交通省や東京大学、IHIなどとの共同研究を紹介している。 映像をリアルタイムに共有する技術も紹介。セーフィー(同品川区、佐渡島隆平社長兼CEO)は、クラウド録画サービス「Safie」やリアルタイム映像伝送・統合管理ソリューションのほか、ウエアラブルカメラも展示している。 建設関連企業では長大や西武建設などが出展。長大は「空飛ぶクルマ」事業をパネル展示し、事業フェーズや同社が持つ技術の活用事例を紹介した。西武建設は東京理科大学らと取り組むRC造建築物の劣化診断調査用ドローンを実機で展示した。ミラテクドローン(同品川区、佐々木康之社長)のインフラ点検ドローンも西武建設ブース内で来場者にアピールした。国産ドローンのセキュリティー面の強みを説明した。 KDDIやソフトバンクも出展した。ソフトバンクはドローンを軸とした鉄塔のさびの検知など画像処理の技術を紹介した。コメント今年で第7回目となる「ジャパン・ドローン」ですが、過去最大となった「第4回ジャパン・ドローン」の来場者数1万4861人を超え、今年はなんと1万7021人もの来場者が訪れました。出展社数は187組とのこと。コロナ禍にも関わらず来場者数は過去最高を記録し、ドローン業界の盛り上がりが伝わってきますね。弊社は去年からジャパンドローンに臨場し、様々な分野でのドローンに対する熱を生で感じておりますが、特に盛り上がりを感じたのは、ソニー製ドローン「Airpeak S1」やDJI製ドローン「Matrice 30」をはじめとした新型ドローンの数々でした。新型のドローンを生で見て知れるのもジャパンドローンの醍醐味の1つですね。毎年開催される予定のイベントで、来年は2023年6月26日(月)~28日(水)幕張メッセで開催される予定です。来年も、どのような性能の機体が出展されるのか、どのような調査方法があるのかなどに注目し参加したいと思います。 -
2022-04-30
NICT、ドローン同士の直接通信による自動飛行に成功
情報通信研究機構(NICT)は4月11日、ドローン同士がそれぞれの位置情報などを地上の操縦者やネットワークを経由せずに直接通信するシステムを開発したことを発表した。 同システムを応用して、先導するドローンに3機のドローンが一定の間隔を保って追従し、編隊飛行させる群飛行技術、同一の空域に4機のドローンが飛行しても自律的に相互の接近を回避するシステムの実証実験に成功した。 近年、幅広い分野で活用されるドローンだが、国の規制緩和も進んでおり今年度中には、レベル4と言われる有人地帯上空での目視外飛行も可能になる。 今回NICTは、ドローン同士が特定小電力無線局である920メガヘルツ(MHz)帯の電波を使って相互にブロードキャスト通信を行いGNSS(全球測位衛星システム)で得られた位置情報を共有する「機体間通信システム」を開発。これを各ドローン上で飛行制御装置に接続することにより、ドローン同士が相互に連携することを可能にした。 そして同システムに、「先導するドローンに対して他のドローンが自動で追従する群飛行」や「自律的な接近回避」のための飛行制御アルゴリズムを組み込んで、それぞれ4機での群飛行および接近回避の飛行試験に世界で初めて成功したという。 また同システムは、ドローン間だけでなく、ドローンと有人ヘリコプターの間でも利用できる。NICTは、数キロメートルの距離を隔ててヘリコプターが接近した場合に、ドローンが自律的な接近回避をすることが可能になることも実証した。 これらの技術によって、今後混雑が予想される上空での効率的なドローンの活用が可能となり、物流、農業、点検、防災といった様々なシーンでの活用が期待される。同機構は、さらに多くのドローンが同一の空域内を飛行する場合に対応した通信制御方式や飛行制御方式についての検討や、飛行する環境に応じた編隊の隊形にするなどの群飛行技術や通信技術の高度化を進め、同方式の実用化を目指していく考えだ。コメント 近年、ドローンの安全性が上がってきたことにより事故件数が平成30年度は144件。それに対し令和元年は83件、令和2年は70件と減ってはいますが、まだまだ事故が無くならないのが現状です。 事故原因の一つとして操縦者のスキル不足が挙げられますが、今回開発された「機体間通信システム」の応用によって自律的な接近回避が可能になり、スキル不足により起きるドローンの衝突事故の減少に繋がると思います。 更に、「先導するドローンに対して他のドローンが自動で追従する群飛行」の試験が成功したことによって、1人で複数のドローンの操縦が可能になれば、今後、運送業など人手不足で苦しむ業界の問題解決に繋がるかと思います。 -
2022-03-31
近畿大学、ドコモ、5G活用し水中ドローンによる養殖マグロ状態監視の実証実験を実施
2022年3月30日、近畿大学、NTTドコモ(以下、ドコモ)は、5Gを活用した水中ドローンによる完全養殖クロマグロの状態監視を目的に、近畿大学水産研究所 大島実験場のいけす内の映像をリアルタイム伝送し、同時に近畿大学 東大阪キャンパスから水中ドローンの遠隔操作を行う実証実験を同日実施すると発表した。マグロの状態監視における水中ドローンの性能や映像伝送および遠隔操作システムの有用性を検証する。【検証項目】・水中ドローンによる撮影映像のリアルタイム伝送・いけす内の水中ドローンの遠隔操作・水中ドローンで撮影した4K映像のアーカイブ共有 同実証は、2020年に近畿大学、日本電信電話(NTT)、ドコモ、西日本電信電話(NTT西日本)、NTTデータの5者で締結した「5Gの推進、「スマートシティ・スマートキャンパス」創造に関する包括連携協定」の取り組みの一環となる。 具体的には5Gの低遅延通信を活用し、水中ドローンで撮影した映像をライブ中継機を通して陸上へリアルタイムで伝送する。近畿大学水産研究所 大島実験場(和歌山県串本町)のいけすから100km以上離れた近畿大学 東大阪キャンパス(大阪府東大阪市)に伝送された映像を水産研究所職員が確認し、現場の操縦者に作業内容や撮影ポイントの指示を行うほか、水中ドローンを遠隔から操作していけす内の状態を把握する。また、水中ドローンでマグロやいけすを撮影するほか、取り付けたアームでいけす内に沈んでいる死亡魚を回収する。 水中ドローンで撮影した映像は、ドコモのクラウドサービス「docomo sky Cloud」にアップロードすることで、多拠点から高精細映像を閲覧できる。※「docomo sky Cloud」 ドローンの飛行準備からデータアップロード、レポート作成、AIによる解析まで、クラウド上でトータルに一元管理できる、ドローン業務に特化したクラウド型のドローンプラットフォーム。誰でも簡単にワンストップで行えるプラットフォームで、さまざまな領域でドローンのビジネス活用をサポート。 マグロの養殖においていけす内の状態監視は、マグロの品質や水揚げ量を大きく左右する。これまではダイバーが水中に潜っていけすの状態や水質、マグロの健康状態の確認や死亡魚の回収を行っており、作業者の負担が大きく安全性にも課題があった。 同実証では水中ドローンと映像伝送および遠隔操作システムを活用して、作業者が遠隔地から指示を出したり、ダイバーが水中で行う作業を代替したりすることで、作業効率化や生産性、安全性の向上が期待できる。